
AI技術の急速な進化に伴い、近年、転職市場でのAI人材のニーズはますます高まっています。こうしたなか、より時代の流れに乗るべく、AIの開発・育成を担うAIエンジニアなどとしてのキャリアアップや転職を考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、AIエンジニアは職種としてはまだ新しく、うまく実績をアピールできない場合があるかもしれません。今回ご紹介する「E資格」は、AIエンジニアとしての実力を客観的に証明できる数少ない民間資格です。本記事では、E資格の概要や勉強方法、生かせる職種などについてご紹介します。
E資格とは?
E資格とは、ディープラーニングの理論を理解し、適切に実装できる能力や知識を有していることを認定する資格です。AI関連の職種における実装力や知識を証明できる数少ない民間資格であり、AIエンジニアとして活躍したい人やディープラーニングの実践的なスキルを習得したい人に適した資格といえます。主催するのは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)で、正式名称は「JDLA Deep Learning for Engineer」です。
概要
E資格は2018年から始まった比較的新しい資格であり、試験は年に2回、2月と8月に実施されています。E資格を受験するには、試験日の過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了しなければならないという条件があります。
G検定との違いとは
同じくJDLAが実施・認定する資格に「G検定」があります。G検定は、AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー習得のための検定試験です。E資格はディープラーニングの実装まで求められるエンジニア向けの資格であるのに対し、G検定はディープラーニングの事業活用への理解やそれに伴う基礎知識が問われるジェネラリスト向けの資格です。G検定の受験には、「JDLA認定プログラムを修了しなければならない」といった条件はなく、誰でも受験できます。
費用
2025年11月現在、E資格試験の受験費用は「一般:33,000円(税込み)」「学生:22,000円(税込み)」「協会会員:27,500円(税込み)」です。そしてこれらの費用に加え、上記で述べたJDLA認定プログラムの受講料も発生します。認定プログラムは、初心者から経験者に向けたものまでさまざまですが、受講料の相場は10万円~40万円と非常に高額です。そのため、E資格試験の受験には総額13万円~43万円ほどかかる計算となります。
E資格試験に申し込むには
E資格試験は、JDLAの公式サイトから申し込みます。試験の予約は受験日の前日まで可能ですが、申し込みの際にはJDLA認定プログラム修了時に発行される「修了者ナンバー」と「認定プログラム修了日」が求められます。もし不明の場合は、あらかじめ事業者に確認しておく必要があります。
E資格を取得する3つのメリット
E資格は数少ないAI関連の資格ですが、実際に取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、E資格を取得するメリットを3つご紹介します。
将来性が高い
AI市場の拡大は留まることを知らず、今後ますますの発展が予想されます。AI人材の需要が高まり続けている一方、日本国内においてはまだまだ不足している状況です。こうしたなか、AIエンジニアとして確かな実力を持っていることを証明できるE資格は、非常に将来性が高い資格といえます。
近年、国内企業でもAI関連のプロジェクトを内製化する動きが出てきています。従来では外部ベンダーなどに頼っていたAI関連業務を将来的には社内エンジニアで賄うことを見据え、E資格保持者の採用に力を入れている企業も多くあります。
また、E資格は必ずしもAIエンジニアだけのものではありません。ビジネスとAIが切っても切り離せない関係となった現代では、日々の業務におけるデータ活用やDX推進に関与する職種においても、AIリテラシーの基盤としてE資格が大いに役立ちます。
2018年から始まった比較的新しい資格であると前述しましたが、国内でAI関連の標準的な資格としての地位を確立しつつあります。あらゆる場面でAI技術の需要が高まるなか、E資格保持者のニーズも上昇しています。
AI人材専用のコミュニティに参加できる
E資格を認定しているJDLAは、E資格やG検定を取得した人を対象としたAIコミュニティ「CDLE」を運営しています。CDLEは参加者が9万人を超える日本最大のAIコミュニティで、主な活動内容として以下のような活動を行っています。
情報共有の場
ディープラーニング全般の最新ニュースや論文に加え、業界別の最新動向や社会実装事例などの情報共有を行っています。
学び合いの場
有識者や著名人を招いたCDLEメンバー限定の勉強会や、GoogleやAlibabaが主催するカンファレンスといった技術報告会を開催し、互いに学びを深めています。
交流の場
地域別や業界別の交流会のほか、学生限定グループや女性限定グループなど、メンバー同士が交流しやすい環境が用意されています。
アウトプットの場
実在する企業のデータを用いてチームでAI開発を行い、課題解決を競い合うハッカソンイベントなどを行っています。
AI人材として成長していく上で、情報や意見の交換ができる環境は非常に貴重です。CDLEの一員になれるというだけでも、E資格を取得する意義は大きいといえます。
就職・転職活動で有利
E資格を取得すると、AIエンジニアとしての就職を目指して転職活動を行う上でも、有利に働きます。ディープラーニングの理論だけでなく、実務に直結する実装力があることも証明できるためです。そのため、即戦力な人材を求めている企業においてE資格取得者のニーズは非常に高く、ほかの応募者と差別化できる大きなポイントになります。
E資格の難易度
E資格の試験範囲は「数学的基礎」「機械学習」「深層学習の基礎」「深層学習の応用」「開発・運用環境」の分野で構成されており、受験者にはAIに関する数学的理論から開発環境に至るまで幅広い知識が求められます。また、おおよそ2年に1回を目安にシラバスが改訂され、常にディープラーニングについての最新情報をキャッチアップできているかどうかも問われます。そのため、E資格の取得難易度は非常に高いといえるでしょう。
ただ、難易度が高いとされている割には、E資格の合格率は70%前後と、ほかのIT資格と比べると高い水準にあります。その理由として、そもそもE資格の受験資格の条件が厳しいことが挙げられます。前述したように、E資格を受験するにはJDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していなければなりません。その上、プログラムの修了には約3~6か月の受講期間が必要です。つまり、E資格はそれ相応の準備をした人のみしか受験できないため、合格率自体は自然と高くなるというわけです。
受験者数
2025年11月現在、直近の開催回である「E資格2025 #2」の受験者数は1,039名でした。試験が初めて開催された2018年からの受験者数や合格者数の推移は以下のとおりです。
| 開催回 |
申込者数 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
| 2018 |
342 |
337 |
234 |
69.44% |
| 2019 #1 |
396 |
387 |
245 |
63.31% |
| 2019 #2 |
718 |
696 |
472 |
67.82% |
| 2020 #1 |
1,076 |
1,042 |
709 |
68.04% |
| 2021 #1 |
1,723 |
1,688 |
1,324 |
78.44% |
| 2021 #2 |
1,193 |
1,170 |
872 |
74.53% |
| 2022 #1 |
1,357 |
1,327 |
982 |
74.00% |
| 2022 #2 |
917 |
897 |
644 |
71.79% |
| 2023 #1 |
1,131 |
1,112 |
807 |
72.57% |
| 2023 #2 |
1,089 |
1,065 |
729 |
68.45% |
| 2024 #1 |
1,215 |
1,194 |
867 |
72.61% |
| 2024 #2 |
930 |
906 |
600 |
66.23% |
| 2025 #1 |
1,077 |
1,043 |
712 |
68.26% |
| 2025 #2 |
1,067 |
1,039 |
730 |
70.26% |
出典:一般社団法人日本ディープラーニング協会「「2025年 第2回 E資格」結果発表・シラバス改定・2026年開催スケジュールのお知らせ」
合格者数・合格率
上記の表のとおり、E資格の合格率は70%前後であり、直近の「2025 #2」までの累計合格者数は9,927名です。合格率だけに着目すると「応用情報技術者試験」といった同程度の難易度の資格よりも受かりやすいように見えますが、受験資格としてJDLA認定プログラムの受講が必要なことを踏まえれば、合格のハードルは決して低くないといえます。
業種別の合格者数は?
「2025 #2」の業種別の合格者は以下のとおりです。全体的に「ソフトウェア業」「情報処理・提供サービス業」「製造業」の割合が多いですが、「卸売・小売業、飲食店」や「農業、林業、漁業、鉱業」といった業種からの合格者もいます。
| 業種 |
合格者数 |
全体の割合 |
| コンピュータ及び周辺機器製造または販売業 |
5 |
0.68% |
| サービス業 |
11 |
1.51% |
| ソフトウェア業 |
177 |
24.25% |
| 医療・福祉業 |
5 |
0.68% |
| 運輸・通信業 |
16 |
2.19% |
| 卸売・小売業、飲食店 |
2 |
0.27% |
| 官公庁、公益団体 |
8 |
1.10% |
| 教育(学校、研究機関) |
7 |
0.96% |
| 金融・保険業、不動産業 |
24 |
3.29% |
| 建設業 |
6 |
0.82% |
| 情報処理・提供サービス業 |
123 |
16.85% |
| 製造業 |
160 |
21.92% |
| 調査業、広告業 |
3 |
0.41% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 |
2 |
0.27% |
| 農業、林業、漁業、鉱業 |
1 |
0.14% |
| 大学院生 |
47 |
6.44% |
| 大学生 |
47 |
6.44% |
| 専門学校生 |
2 |
0.27% |
| 高専生 |
2 |
0.27% |
| 高校生 |
3 |
0.41% |
| 無職、その他 |
79 |
10.82% |
| 総計 |
730 |
100.00% |
出典:一般社団法人日本ディープラーニング協会「「2025年 第2回 E資格」結果発表・シラバス改定・2026年開催スケジュールのお知らせ」
E資格の取得に向けた勉強方法
E資格試験の受験には、受験日の過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了していることが必須条件として定められています。必須条件というだけあって、E資格試験に合格するためには認定プログラムの内容への深い理解が何より大切です。
認定プログラムは、受講形式(eラーニングか対面)・サポート体制・講座レベルなどの違いから、さまざまなものが展開されています。プログラムによって受講期間や費用なども異なるため、自分にとってどの認定プログラムが最適かを吟味した上で受講することが重要です。
また、E資格試験はほかの資格試験と違い、過去問題が公開されていません。試験の出題傾向を把握するためには、認定プログラムの想定問題にしっかり取り組むのはもちろんのこと、必要に応じて市販の問題集などを活用するのも一つの選択肢です。
Sky株式会社は、E資格認定プログラムを社内研修で受講できる
E資格試験を受験する際には、各自でJDLA認定プログラムに申し込み、学習を進めるのが一般的です。しかし、Sky株式会社では認定プログラムを社内研修で実施しています。
Sky株式会社では、すべての社員が業務にAIを活用できる環境を整えた上で、活用のための研修やナレッジ共有の促進に取り組んでいます。その一環として2023年10月、画像認識技術の第一人者でありSky株式会社の技術アドバイザーを務めてくださっている中部大学の藤吉弘亘教授のご協力の下、E資格試験のシラバスに対応した研修環境を整備しました。その結果、Sky株式会社は2024年6月に「E資格認定プログラム事業者」としての認定を受け、社内研修でE資格認定プログラムを実施できる国内唯一の企業になりました。(2025年11月時点)
受験費用を会社が負担することで、E資格の取得を推進しています。このように社員が資格を取得しやすい環境を整えた結果、実際に「E資格 2024 #2」では15名の社員がE資格に合格しました。今後AI市場がますます発展していくなかで、Sky株式会社はお客様のニーズに応えるために、エンジニアのディープラーニングの専門知識習得と資格取得を後押しすることで、会社全体の技術力向上を目指しています。
E資格を生かせる職種
ここまで、E資格の概要や勉強方法についてご紹介してきましたが、実際にE資格を取得して活用できる職種にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、E資格を生かせる職種についてご紹介します。
データアナリスト・サイエンティスト
データアナリストやデータサイエンティストは、E資格を生かせる職種の一つです。実際の業務内容としては、ビジネスにおける課題の抽出、データ分析やデータ利活用、分析結果を基にしたビジネス課題への提言、データ利活用サービスの企画および推進に関するコンサルティング支援などが挙げられます。求人票に、E資格の取得を歓迎要件として挙げている企業も多くあります。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアの主な仕事は、AI技術を活用したソリューションの企画、そのサービス化です。具体的には、機械学習アルゴリズムの設計やモデルのトレーニングとチューニング、システムへの実装・運用などを行います。E資格の取得によって身につくAIの知識やスキルは、このような業務に大きく役立ちます。データアナリストやデータサイエンティストと同様、機械学習エンジニアの求人票でもE資格取得者を歓迎しているものが多く見受けられます。
Sky株式会社のAIエンジニア募集職種
Sky株式会社では「ソフトウェア開発部門」「SI部門」「社内SE部門」でAIエンジニアを募集しています。Sky株式会社のAIエンジニアは、クライアント案件のみならず、業務効率の改善や生産性の向上など、会社全体をより良くするための仕組みづくりなどにも幅広く携われます。
現在、社内で広く活用されている社内向け生成AIサービス「SKYAI:スカイAI」や、社内向けAIエージェント「AI Division:AIディヴィジョン」も、自社で開発しました。また、2025年7月には社内のAI専門チーム「AI Innovation Lab」を新設。AI技術者による自社AIプロダクトの開発を加速させています。
このように、Sky株式会社のAIエンジニアは社内外を問わずさまざまな業務で活躍できます。各部門のそれぞれの詳しい業務内容は、本記事の最下部にある募集職種ページのリンクよりご覧ください。
まとめ
AIが急速な進化を遂げている近年、AI技術を活用してシステムやアプリケーションの開発を行うAIエンジニアの需要はますます高まっています。E資格はAIエンジニアとしての実力を客観的に証明する数少ない民間資格であり、AIエンジニアとして活躍したい人」やAIエンジニアへの転職を目指している人に適した資格です。今回の記事の内容が、AIエンジニアとしてキャリアをスタートさせる一助になれば幸いです。
AIエンジニアとしての転職ならSky株式会社
Sky株式会社には、本記事でご紹介したE資格の取得支援をはじめ、技術や知識を共有する企業文化、手を上げれば挑戦できる土壌など、AIエンジニアとして成長できる環境が整っています。AIエンジニアとしてのキャリアアップや転職を考えている方は、ぜひ一度Sky株式会社への応募をご検討ください。