
近年のITやAIの需要の高まりにより、システムエンジニアは人気のある職種として転職市場でも注目されています。そのため、システムエンジニアへの転職やキャリアアップを目的に、資格の取得を考えている人も多いのではないでしょうか。実際に資格を取得することで、対外的に専門的なスキルを持っていることの証明になるほか、学習過程で学ぶ知識やスキルは業務に役立つ大きな財産となります。今回はシステムエンジニアに資格が必要なのかどうか、お勧めの資格や取得する際の注意点についてご紹介します。
近年のITやAIの需要の高まりにより、システムエンジニアは人気のある職種として転職市場でも注目されています。そのため、システムエンジニアへの転職やキャリアアップを目的に、資格の取得を考えている人も多いのではないでしょうか。実際に資格を取得することで、対外的に専門的なスキルを持っていることの証明になるほか、学習過程で学ぶ知識やスキルは業務に役立つ大きな財産となります。今回はシステムエンジニアに資格が必要なのかどうか、お勧めの資格や取得する際の注意点についてご紹介します。
システムエンジニアとして働く上で、資格取得が必須というわけではありません。しかし、資格を取得する過程で、業務の礎となるさまざまな知識やスキルを習得できることには大きな意味があるといえます。
また、資格はスキルを持っていることの対外的な証明にもなるため、就職活動やキャリアアップにおいて有利に働く場面も多いです。システムエンジニアにお勧めの資格を以下でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
システムエンジニアの業務範囲は広く、担当業務によって求められるスキルも異なります。現在の自分のスキルや今後のキャリアプランに合わせて、適切な資格を取得することが重要です。
ITパスポート試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が開催する経済産業省認定の国家資格です。ITに関する基礎的な知識を持っていることを証明できます。IT系の資格の中で最も難易度が低く、エンジニア以外にも営業職や事務職といったITを利用するすべての人を対象としています。
また、ITパスポート試験はCBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、都道府県や会場によって若干頻度は異なるものの、全国の試験会場で随時行われています。
もしIT関連の知識がゼロの状態からシステムエンジニアとして働きたいと考えている場合は、まずはこのITパスポート試験の取得を目指しながら、基本的な知識を身につけていくことがお勧めです。
資格名 | ITパスポート試験(IP) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 50.9%(2025年4月度) |
参考:IPA「ITパスポート試験」に基づき制作
基本情報技術者試験は、IT人材の登竜門といわれ、IT業界で働くにあたって習得すべき基礎的な知識と技能が問われる国家資格です。難易度としてはITパスポート試験に次ぐ易しさであり、情報技術に関する最低限の知識があれば、合格はそこまで難しくありません。
ただし試験範囲は広く、情報技術の基礎知識、プログラミング、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの基本のほか、システム開発における法務やプロジェクトマネジメントなどに関する実務的な問題も含まれるため、IT業界未経験者は対策が必須といえます。
また、基本情報技術者試験は2023年4月から通年で試験が実施されるようになり、ITパスポート試験と同様、CBT方式で全国の試験会場で随時受験することが可能です。
資格名 | 基本情報技術者試験(FE) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 37.9%(2025年4月度) |
参考:IPA「基本情報技術者試験」に基づき制作
情報セキュリティマネジメント試験とは、サイバー攻撃などから組織を守り、情報セキュリティの確保に貢献できることを証明する国家資格です。近年サイバー攻撃の手口が複雑化していることから、需要が高まっている資格の一つといえ、エンジニアに限らず幅広い業種や職種の人が受験しています。
情報セキュリティマネジメント試験は、基本情報技術者試験と同様にITパスポート試験の次に易しい資格であり、国家資格の中でも比較的合格率の高い資格です。2023年4月からCBT方式の通年試験となっているため、随時受験できます。
試験範囲では組織マネジメントや法務関連の知識が求められ、実際の現場で遭遇する事例をベースに出題される傾向が強いです。
資格名 | 情報セキュリティマネジメント試験(SG) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 69.5%(2025年4月度) |
参考:IPA「情報セキュリティマネジメント試験」に基づき制作
応用情報技術者試験は、前述した基本情報技術者試験の上位試験であり、高度なIT人材として活躍する上で必要な応用知識やスキルが問われる国家資格です。試験範囲もITに関する非常に幅広い分野を網羅しているほか、マネジメントや戦略立案に関する問題も出題されます。そのため、エンジニアやプログラマーといった、ある程度IT業界で実務経験を積んだ人が受験することの多い資格です。
これまでご紹介した資格とは異なり、応用情報技術者試験は春期(4月)と秋期(10月)の年2回しか実施されないため、申し込みのタイミングには注意が必要です。
資格名 | 応用情報技術者試験(AP) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 28.5%(2024年秋期) |
参考:IPA 「応用情報技術者試験」に基づき制作
マイクロソフトオフィススペシャリストは、Word・Excel・PowerPointなど、Microsoft Office製品の知識や操作スキルを証明する民間資格です。一般レベルと上級レベルの2つの難易度があり、一般レベルでは各ソフトウェアの基本的な操作方法を問われ、上級レベルではより業務を効率化できる高度な機能に関する操作スキルが求められます。
システムエンジニアとしては設計書や提案資料、議事録の作成などに各Officeツールを使用することが多く、それらに関する知識やスキルを習得できれば、業務効率の改善に期待できます。
資格名 | マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) |
運営団体 | 株式会社オデッセイコミュニケーションズ |
受験料 | 一般価格:12,980円(税込み) / 学割価格:9,680円(税込み) |
合格率 | 公式には非公開 ※一般レベル:約80%(推定) / 上級レベル:約60%(推定) |
参考:株式会社 オデッセイコミュニケーションズ「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」に基づき制作
ネットワークスペシャリスト試験とは、ネットワーク分野における専門的な知識やスキルを持っていることを証明する国家資格です。ネットワーク関係の業務に従事している人や、システムエンジニアから先のキャリアとしてネットワークエンジニアやインフラ系のエンジニアを目指す人に最適な資格といえます。
IPAが開催する情報処理技術者試験の中でも最難関である「レベル4:高度情報処理試験」に該当する資格であり、難易度は非常に高いですが、その分、取得できればキャリアアップや転職活動に有利に働きます。
試験は年に1回、基本的には4月の第3日曜日に開催されます。
資格名 | ネットワークスペシャリスト試験(NW) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 15.4%(2024年春期) |
参考:IPA「ネットワークスペシャリスト試験」に基づき制作
データベーススペシャリスト試験は、ネットワークスペシャリスト試験と同じ「レベル4:高度情報処理試験」に該当する国家資格であり、ビッグデータの管理やデータベースシステムに特化した試験です。
データベースに関する深い知識と専門的なスキルが求められるため、今後のキャリアとしてデータベースエンジニアを考えている人にはもちろんのこと、データベース管理者やインフラ系エンジニア、データサイエンティストなどを目指す人にも適した資格といえます。
近年ビッグデータの活用が注目されていることから、データベーススペシャリスト試験の需要は今後ますます高まっていくと予想されています。
資格名 | データベーススペシャリスト試験(DB) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 17.2%(2024年秋期) |
参考:IPA 「データベーススペシャリスト試験」に基づき制作
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、組込みシステムの専門家として幅広い知識とスキルを所有していることを認定する国家資格です。試験は年に1回で、毎年秋に実施されます。
IoTシステムをはじめ、近年のエンベデッドシステム(組込みシステム)に対する需要は高く、この資格を取得することで自分の市場価値を大きく高められます。また、最先端の分野だけでなく、今後IoTが進展すると考えられる農業や物流業など、活躍できる分野が幅広いこともエンベデッドシステムスペシャリスト試験を取得するメリットの一つです。
資格名 | エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 16.9%(2024年秋期) |
参考:IPA「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」に基づき制作
システムアーキテクト試験は、情報システムの設計や構築に関する豊富な知識とスキルを持っていることを認定する国家資格です。システムエンジニアは、システムアーキテクトが作成した設計を基に構築を行うため、より上流工程を担当したいと考えている場合に目指すべき資格といえます。
また、システムアーキテクト試験では、ほかの試験とは異なり、エンジニア自身の業務経験からテーマに沿った小論文を書くことが求められます。そのため経験の浅いエンジニアは、ほかの人や企業の業務事例を収集し、多くの引き出しを用意するという対策が必要です。
資格名 | システムアーキテクト試験(SA) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 15.0%(2024年春期) |
参考:IPA 「システムアーキテクト試験」に基づき制作
オラクルマスターは、オラクル社のデータベースシステムである「Oracle Database」を扱う技術力を認定する民間資格です。Oracle Databaseの管理・運用を前提とした試験ではあるものの、データベースに関する基本的な知識も網羅されているため、データベース関連の登竜門といえる資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4つの難易度があり、Silver以上は世界共通の資格として認められています。
システムエンジニアも時にはデータベースを扱うことがあるため、データベース市場で世界的に高いシェアを誇るOracle Databaseに関しての知識やスキルを持っておくことは重要といえます。
資格名 | オラクルマスター |
運営団体 | 日本オラクル株式会社 |
受験料 | 41,773円(税込み) ※2025年5月現在 |
合格率 | 公式には非公開 ※推定40%~60% |
参考:日本オラクル株式会社 「ORACLE MASTER Portal」に基づき制作
CCNA(Cisco Certified Network Associate)とは、シスコシステムズ社が提供するネットワークエンジニア向けの民間資格です。ネットワークエンジニアを目指す人にとっての入門資格ともいわれ、ネットワークの基礎、IP接続、セキュリティの基礎、自動化とプログラマビリティなどに関する知識が求められます。
CCNAの試験は前日に予約が締め切られるものの、基本的にいつでも受験可能で、全国にあるテストセンターか、自宅からのオンライン受験で受けられます。民間資格であるため、ほかの国家資格に比べて受験料が高くなることには注意が必要です。
資格名 | CCNA(Cisco Certified Network Associate) |
運営団体 | シスコシステムズ社 |
受験料 | 46,860円 (税込み) ※2025年5月現在 |
合格率 | 公式には非公開 ※推定20%~30% |
参考:Cisco 「CCNA認定」に基づき制作
PMP®(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)は、プロジェクトマネジメントに関する専門知識を持っていることを証明する、アメリカのPMI本部が認定している国際資格です。日本では、一般社団法人PMI日本支部によって運営されています。
日本での取得者はまだそこまで多くありませんが、世界的にはプロジェクトマネジメントに関する資格のデファクト・スタンダードとして広く認知されているため、国際的に働きたい人にとっては価値の高い資格です。
ただし、PMP® は試験に合格して資格保有者となった後も、PMIが定める60時間の研修を3年ごとに受講しなければならないなどの制約があり、資格を保持し続けるハードルは高いといえます。
資格名 | PMP® (プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル) |
運営団体 | 一般社団法人PMI日本支部 |
受験料 | PMI会員価格:405ドル(57,915円 ※非課税) 通常価格:655ドル(93,665円 ※非課税) ※()内は日本円換算の金額 (2025年6月1日現在:1ドル=143円) |
合格率 | 公式には非公開 ※推定50%~60% |
参考:一般社団法人PMI日本支部「PMP®資格について」に基づき制作
プロジェクトマネージャ試験も上記のPMP®と同様、プロジェクトマネージャとしての専門的な知識やスキルが求められる資格です。プロジェクトマネジメントのみならず、リスク管理や品質管理、ステークホルダーとの調整などに関する知識も求められます。PMP®は民間資格ですが、プロジェクトマネージャ試験はIPAが運営する国家資格であり、その分、合格難易度も高いです。
難しい資格ではあるものの、学習過程で論理的思考力やコミュニケーション能力を磨きながら業務に直結する実践的なスキルを身につけられる点は、プロジェクトマネージャ試験の大きな魅力といえます。
資格名 | プロジェクトマネージャ試験(PM) |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
受験料 | 7,500円(税込み) |
合格率 | 13.9%(2024年秋期) |
参考:IPA 「プロジェクトマネージャ試験」に基づき制作
ここまでシステムエンジニアにお勧めの資格をご紹介してきましたが、やみくもに資格取得を目指すのはお金や時間の面からも得策とはいえません。ここでは、システムエンジニアが資格を取得する際の注意点をご紹介します。
どの資格の取得を目指すべきかは、その人の置かれた状況や今後のキャリアプランによってさまざまです。
例えば、IT業界未経験でシステムエンジニアを目指したいと考えているのであれば「ITパスポート試験」や「基本情報技術者試験」、すでにある程度の知識がある場合は「応用情報技術者試験」がお勧めの資格として挙げられます。また、しっかりとした実務経験があり、今後どの分野を専門にしていきたいかといった具体的な目標がある場合、「ネットワークスペシャリスト試験」や「データベーススペシャリスト試験」などのより専門的な資格の取得を目指すのがお勧めです。
お金や時間を無駄にしないためにも、何のために資格を取得するのかを入念に考え、目的に合った資格を選ぶことが重要といえます。
仕事が忙しい社会人の場合、資格取得に向けた勉強時間をまとめて確保することが難しいため、勉強は計画的に効率良く行う必要があります。まずは自分の現在地を把握し、具体的な目標を立てることから始めるのが良いといえます。また、資格の受験日が決まっている場合は、スケジュールを逆算して、どの期間でどこまで勉強しなければならないかを確認することも大切です。
資格取得に向けた勉強方法としては、主に「講座やスクールで学ぶ」「独学で勉強する」の2パターンがあり、自分に適した学習スタイルを選択することも勉強を効率良く進める上では重要です。
よく陥りがちなポイントとして、資格の取得自体をゴールにしてしまっていることが挙げられます。資格は自分の知識やスキルを証明するものであって、取得した資格を業務やキャリアにどう生かすかが重要です。そのため、資格の取得自体を目的やゴールに設定しないように気をつける必要があります。
また、システムエンジニアの仕事内容は多様であり、資格試験の内容がそっくりそのまま実務に役立つわけでもありません。資格取得の過程で得た知識やスキルを実際の業務で生かせるように、学習の段階から、今勉強している内容がどう実務に役立つのかをイメージしたり、実際に手を動かしてアプリケーションやシステムに勉強した内容を反映させてみたりすることもお勧めです。
システムエンジニアとして取得する資格は、あくまで自身の市場価値を高めるためのものです。資格がなければエンジニアとして働けないということはなく、逆に資格があるからといって必ず働けるというわけでもありません。
システムエンジニアは、顧客やプロジェクトメンバーといったさまざまな人とコミュニケーションを取る必要があり、相手の意思を正確にくみ取ってプロジェクトを成功に導くことが求められます。そのため、資格の取得だけにとらわれず、ビジネスパーソンとしてコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を磨いていくことも、システムエンジニアとしてのキャリアを歩む上では重要です。
自己成長のために資格を取得するという心意気は大変素晴らしいものですが、併せて業務を滞りなく進めるためのスキルを磨くことを失念しないよう注意する必要があります。
システムエンジニアとして活躍するために、必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、資格取得は自分の市場価値を高めることにつながり、結果としてキャリアアップや転職に有利に働く場合も多いです。また、将来自分がどのようなエンジニアになりたいかという目標が明確にある場合は、それに合わせた資格取得を目指すことでスキルの底上げを図ることもできます。
この記事の内容が、システムエンジニアとして何か資格を取得したいと考えている方にとって少しでも参考になれば幸いです。
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