
「プロダクトエンジニア」という職種をご存じでしょうか。近年のシステム開発において徐々に普及してきた概念であり、聞きなじみがない方も多いかもしれません。職種として明確な定義はありませんが、現時点では、顧客の課題を解決するためにプロダクトの価値を最大化し、開発をリードするエンジニアとして認識されています。
プロダクト開発の幅が広がるなかで、プロダクトエンジニアの重要性は今後ますます高まっていくと予想されます。本記事では、仕事内容や必要な能力、プロダクトエンジニアとして働く上でのメリット・デメリット、キャリアパスなどを詳しくご紹介します。
プロダクトエンジニアとは?
「プロダクトエンジニア」とは、近年のシステム開発において徐々に普及し始めている新しい概念です。職種として明確な定義はなく、現時点では、顧客の課題を解決するためにプロダクトの価値を最大化し、開発をリードするエンジニアとして認識されています。技術面以外にも、UXやドメインといったビジネスやデザインの観点を持ち、広範な領域をカバーすることが求められます。
プロダクトエンジニアとフルスタックエンジニアの違い
プロダクトエンジニアに近しい職種として挙げられるのが、フルスタックエンジニアです。フルスタックエンジニアには、すべての開発工程を一人で手掛けられる能力が求められます。そのため、プログラミングの各種スキルはもちろんのこと、サーバー、データベース、クラウドサービスに関するあらゆる知識が必要です。
一方、プロダクトエンジニアは、専門的な技術が求められるのはもちろん、プロダクトの価値を理解し、顧客のニーズを把握することが重要な職種です。そのため、コミュニケーション能力や課題解決能力、UXデザインに関する知識など、幅広いスキルや知識が求められます。
フルスタックエンジニアは技術に特化した専門家、プロダクトエンジニアはプロダクトの価値を最大限に引き出すためのジェネラリストといえます。
プロダクトエンジニアが携わる領域
プロダクトエンジニアが携わる領域は、「テクノロジー」「デザイン」「ドメイン」の3つに分けることができます。それぞれについて詳しくご紹介します。
1. テクノロジー
プロダクトエンジニアには、単独で1つの機能を実装できる技術力が求められます。質の高い顧客体験を提供するために、高い技術力と多種多様なソリューションに関する知識が必要です。
また、ソフトウェア開発においては、ビジネスの核となる領域(ドメイン)に焦点を当て、その領域への理解を基にシステムを設計・構築する「ドメイン駆動設計」と呼ばれるアプローチを活用し、顧客のニーズに合ったシステムを構築する能力が重要になります。
ソフトウェアの開発プロセスにおいては、短期間でプロトタイプや機能を開発し、実際のユーザーやステークホルダーからフィードバックを得て改善する「検証イテレーション」のサイクルをスピーディに回す能力も重要です。
2.デザイン
プロダクトエンジニアには、UX(顧客体験全体)を向上させる設計力が求められます。UIの美しさのみにこだわる場合はデザイナーのスキルがあれば対応できますが、顧客に優れた体験を提供する設計を目指すのであれば、プロダクトエンジニアの関与が欠かせません。
リーンUXによる仮説検証や、カスタマージャーニーマップを活用した要求整理のほか、オブジェクト指向UIや情報アーキテクチャなどのUI設計手法が非常に有効です。
3.ドメイン
プロダクトエンジニアにおける「ドメイン」とは、プロダクトが対象とする事業や業務領域のことです。つまり、そのプロダクトがどのような分野でどのような問題を解決しようとしているのか、ということを指します。
プロダクトエンジニアは、顧客について深く理解し、その理解を基に顧客のニーズを満たすシステムを作ることが求められる職種です。顧客の業務内容、業界の商慣習、ビジネスモデルなど、プロダクトエンジニアが知るべき事柄は広範囲にわたります。
プロダクトエンジニアに求められる特性
プロダクトエンジニアとして活躍するためには、これからご紹介する4つの特性を備えていることが望ましいとされています。
1.顧客ドメインやビジネスへの強い関心
プロダクトエンジニアは、技術だけでなく顧客ドメインやビジネスに対しても関心を持ってプロダクト開発に取り組む必要があります。プロダクトのアイデアは、顧客のニーズやゴールから逆算して考える必要があり、明確にゴールを理解して設定するためにも顧客ドメインやビジネスを深く理解することが重要です。
2.専門領域の越境と迅速なキャッチアップ
プロダクトエンジニアは、幅広い領域に関するスキルや知識を生かすことでシステムの最適な設計を実現します。そのため、自身の専門領域を積極的に広げていく姿勢が大切です。目的意識を持って実践的な学習を行い、新しい技術や知識をキャッチアップすることで、プロダクトの価値の最大化につなげられます。
3.探索的かつ迅速な仮説検証サイクル
顧客体験を向上させるためには、多くの試行錯誤が必要です。検証を繰り返し、プロダクト開発の不確実性を軽減することが重要になります。リーン開発やその根幹をなすMVP(Minimum Viable Product)を活用し、小規模な開発と失敗を繰り返しながらプロダクトの価値を高めていく姿勢が求められます。
4.顧客の課題解決を最優先する姿勢
プロダクトエンジニアは、自身の成果の追求よりも、顧客の課題解決に尽力することが求められます。優れた仮説を立てるためには対立的な議論が必要であり、時には自身の仮説が誤りであることを素直に認めることも重要です。課題解決を最優先とした柔軟なコミュニケーションを重視し、ステークホルダーとも積極的に関係を築きながら、新しい知識や考え方を自発的に取り入れていく必要があります。
プロダクトエンジニアに求められるスキル
プロダクトエンジニアには「開発・設計に関する技術力」「業務やドメインへの理解力」「巻き込み力」など、幅広いスキルが求められます。それぞれについて詳しくご紹介します。
1.技術力
プロダクトエンジニアは、技術領域への深い専門性が必須となる職種ではないものの、詳細設計や実装・テストを一人でやりきれる程度の技術力は必要です。プロダクト開発に必要なバックエンド・フロントエンドのスキルを持ち、一気通貫でプロダクト開発に取り組むことが求められます。高い技術力があれば、技術的な課題を迅速に解決し、より良い顧客体験を提供することができます。
2.業務やドメインに対する理解力
プロダクトエンジニアは、顧客のニーズに合った機能を実現し、優れた顧客体験を提供するために、顧客の業務やドメインを深く理解することが求められます。顧客が抱えている課題の本質を追究し、ステークホルダーの把握や業務フローの理解、エッジケースの修正に努めることが大切です。さまざまな制約があるなかでも改善すべきポイントを洗い出すことができれば、顧客に最適なソリューションを提供することが可能になります。
3.プロジェクトを推進する力
プロダクトエンジニアは、「技術」「UXデザイン」「ドメイン」など、さまざまな領域に幅広く携わる必要がありますが、すべてに対して一人で正しい判断を下すことは困難です。そのため、適切なタイミングで適切な領域のスペシャリストやステークホルダーを巻き込み、プロジェクトを推進していく能力が重要になります。多様な視点を取り入れることで、より最適なソリューションを導き出すことができます。
プロダクトエンジニアとして働くメリット・デメリット
プロダクトエンジニアとして働くメリットは、技術的なスキルに加えて、ビジネスやデザインの視点など幅広い能力を習得できることです。また、顧客の課題を直接解決するため、大きなやりがいを感じることができます。一方、幅広いスキルや知識が必要となり、学習の負担が大きいのがデメリットです。また、プロジェクトの成功に対するプレッシャーも大きく、人によってはストレスを感じてしまうかもしれません。
プロダクトエンジニアのキャリアパス
プロダクトエンジニアのキャリアパスは非常に多様です。技術の専門性を高めてスペシャリストとして活躍するという選択肢もありますし、プロジェクトリーダーやCTOなどのマネジメント職を目指すという選択肢もあります。また、プロダクトの価値を最大化するスキルを生かし、ビジネスやデザインの分野でキャリアを築くことも考えられます。
まとめ
ここまで、プロダクトエンジニアの携わる領域や、求められるスキルなどについてご紹介してきました。プロダクトエンジニアは、近年のシステム開発で徐々に普及し始めている新しい概念の職種ですが、プロダクトの価値を高めることができるエンジニアとして今後ますます需要が高まっていくと予想されます。
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