モノづくりへの思いが生きる自社商品開発の現場

モノづくりへの思いが生きる自社商品開発の現場

Sky株式会社は長年にわたって自社商品の開発に取り組んできました。「SKYMENU」シリーズ、「SKYSEA Client View」、「SKYDIV Desktop Client」を担当する自社商品開発のキーパーソンと全商品のUI(ユーザーインタフェース)を担当する画面仕様チームのキーパーソンに、それぞれの商品の特色や開発現場の雰囲気をはじめ、求める人物像などについて語ってもらいました。

  • 人物1
    ICTソリューション事業部 開発部 開発課技術課長
    2001年に入社。カメラ監視システムや「SKYSEA Client View」などの開発を経て、現在は技術系管理職(スペシャリスト)※として「SKYDIV Desktop Client」の開発・保守に携わる。
    担当商品:SKYDIV Desktop Client

    ※2022年度から人事制度を改変し、技術に特化したスペシャリストと総合職のジェネラリストという2系統のキャリアパスを設定。
  • 人物2
    ICTソリューション事業部 開発部 開発課技術次長
    1999年に入社。画像解析型基盤検査装置などの開発を経て、現在は技術系管理職(スペシャリスト)として「SKYMENU」シリーズの開発・保守・クラウド運用に携わる。
    担当商品:担当商品SKYMENUシリーズ
  • 人物3
    ICTソリューション事業部 開発部 開発課課長代理
    2008年に入社。自社商品の評価/検証業務を経て、画面仕様書チームに配属。現在は管理職(ジェネラリスト)として、自社商品全般の画面仕様検討、メンバー育成に携わる。
    担当業務:画面仕様書チーム
  • 人物4
    ICTソリューション事業部 開発部 開発課技術課長
    2008年に入社。「SKYMENU Pro」などの開発を経て、現在は技術系管理職(スペシャリスト)として「SKYSEA Client View」の仕様検討・設計・実装に携わる。
    担当商品:SKYSEA Client View

日頃から業務でコミュニケーションを取っていますが、今日はあらためて皆さんとお話しできる機会が持ててうれしいです。転職を考えている方が、弊社の自社商品開発に少しでも関心を持ってもらえるような座談会になればいいなと思っています。 まずは皆さんの役割について教えていただけますか?

どの商品でも同じですが、弊社の自社商品開発は商品ごとのチームの中で、さらに機能ごとのチームに分かれて開発に取り組んでいますよね。私の役割は、各チームが仕上げた機能の設計確認や機能が要求を満たしているかを検討するほか、対応に要するコスト面を考慮しながら、技術的なアプローチの妥当性についてメンバーへレビューなどを行うことが中心です。

技術マネージャー寄りの役割ですね。私も同じです。メンバーに機能の詳細な仕様について考えてもらい、それを管理職とすり合わせてブラッシュアップしていくのですが、そのときに技術的なアプローチや商売の観点を含めてアドバイスするのがメインの業務です。

私は技術的なアプローチについて、一次調査する業務も担っています。そのあとは、メンバーに仕様の検討、実装をお願いして、そのアプローチが妥当かどうかチェックするほか、それぞれのチームの負荷状況を確認し、人員配置のやりくりを行っています。

私の所属する画面仕様書チームは皆さんとは違って、チームの中に商品ごとの小チームがあります。キャリア採用で人員を強化しており、まだ経験の浅い方が多いため、現在はメンバーのすべての成果物に対して、画面仕様における「Skyイズム」を伝えることに重点を置いてレビューを行っています。商品それぞれにターゲットが違うので、その違いを意識することも大切ですね。

それぞれの​商品で​お客様の​層が​異なる​ターゲットを​意識した​開発を​目指す

確かに、それぞれ商品を使用されるお客様の層が違いますよね。SKYMENUシリーズは学習活動を支援するソフトウェアなので対象はもちろん、学校の先生方です。ですが、先生方のITスキルにばらつきがあるということが難しい点です。専門的な知識がある先生もいれば、ICT活用のハードルが高いと感じる先生もいます。今は子どもが商品を使う機会が非常に多くなっていますが、最近は子どもたちの方がデジタルデバイスに強い側面もありますしね。

なるほど。そういった状況のなかで、開発する上で意識していることはありますか?

子どもがどういう操作を行っているのか、先生が管理できていないということがあってはなりません。目指しているのは、子どもたちが自由に学びに使えると同時に、先生が子どもの状況を把握できるソフトウェアです。単に画面が使いやすく、わかりやすいということだけでなく、学習活動を支援することを意識しています。

SKYSEA Client Viewはシステム管理者がクライアントの運用管理を行うために使うソフトウェアなので、ターゲットは情報システム部などの皆さんです。なので、使用者のスキルにそれほどばらつきはありません。ただ、民間企業などの多種多様な環境で導入されるため、環境面では幅広い対応に迫られます。導入するクライアントPCの台数が多かったり、少なかったり、組織の規模によってさまざまですから。

では、SKYSEA Client Viewではどういったことを意識して開発されていますか?

組織が小さくて専任のシステム管理者がおけない場合もあれば、規模が大きく複数人で管理業務を分担して運用しているケースもあります。少ないクライアントならではの使い方、逆に多台数ならではの使い方というのがあるので、この機能はどういった環境をターゲットにしているのか、というところを意識して考えなければなかなか定まっていきませんね。

確かに、クライアントの台数が多い、少ないに関わらず、UIや操作感は統一したいのですが、やはり両方に使いやすくするというのは難しいです。簡単に設定ができる画面に加えて、より細かな設定ができる画面を用意するなど、組織の規模に合わせて柔軟に運用できる工夫が必要ですよね。

シンクライアントシステムのSKYDIV Desktop Clientは導入時の環境構築に時間が掛かるということがほかの商品との違いでしょうか。仮想環境上で利用者が業務を行うため、システムが止まるということは、お客様の業務がストップするということに直結します。これはダメージが大きいですよね。そのため慎重に環境構築を行うので、実際に納品して稼働できるまで半年掛かるということもざらにあります。

半年ですか!半年の間にどのようなことに対応するのですか?

お客様の環境を把握し、導入時の環境構築を支援しているのはシステムサポート部です。なので、システムサポート部がどういうネットワーク構成にするのか、どこにサーバーを設置するのかといった要件をまとめたものに対応しています。

お客様と​直接関わる​部署と​連携し、​市場の​ニーズを​的確に​把握

どの商品でも、お客様と直接関わる部署との連携は欠かせないですよね。

そうですね。SKYMENUシリーズでも、今後搭載する機能について、実際にお客様と関わる営業部門や商品企画を行う部門などからお客様の要望を整理したリストをもらっています。リストを基に実際にどの時期に、どういった優先順位で開発できそうかということを検討し、要件の具体化を進めています。

SKYSEA Client Viewでも、お客様と関わる営業部門やシステムサポート部との連携は重要です。お客様からの要望を集めて、協議した上でどんな機能を載せるかということを管理職で決める形です。

SKYDIV Desktop Clientは、ほかの2つの商品に比べて新しい商品ですが、機能を追加する上での違いはありますか?

お客様の声を機能開発に生かすということは同じですよ。現在は自治体強靱化のリプレース案件に向けた機能追加要望が多く、「自治体でどうやったら使いやすくなるか?」という視点でお困り事の解決を目指しています。

それぞれの市場で、ニーズを把握することは本当に大切ですよね。特に文教市場は、学習指導要領など特有の業界知識が必要です。今後対応していくべきテーマの背景には、文部科学省などが示す指針がベースにあるということがわかっていないと、適切な仕様に落とし込めません。ですから、そういった点は商品企画を行う部門の担当者がある程度ブレークダウンしてくれます。

心理的な​垣根が​なく、
コミュニケーションが​活発なのが​特色です

ワンフロアで​開発
それぞれの​チームが​日常的に​技術共有

それぞれの商品の特徴があらためてよくわかりました。でも弊社の自社商品ならではの共通点もありますよね。先ほど私は、画面仕様における「Skyイズム」と言ったのですが、例えばボタン一つとっても、イラストにテキスト表記を加えた大きめのボタンを用意するなど、マニュアルに頼らなくても操作できることは各商品の共通のコンセプトとして重要視しています。それぞれの商品で、技術面での共通項ももちろんありますよね?

そうですね。技術の共有は、常日頃から当たり前のように行われています。例えば、何かログを取得することに関してはSKYSEA Client Viewの得意分野なので、ほかの商品に技術提供しています。

私は、もともとSKYSEA Client Viewの開発から異動したので、ノウハウを持ち込んでいます。そもそもSKYDIV Desktop Clientの開発体制は、SKYSEA Client ViewとSKYMENUシリーズの開発担当者の混成チームなんです。そういう意味でも、両方のチームにわからないことを聞きやすい環境があります。

わからないことがある場合は、どんどん聞いてほしいですよね。それにそれができる雰囲気だと思います。社内のブログや社内SNS「Skyなう」などでの発信が活発で、いつでも情報収集できますし、上司に相談に来た場合はほかのチームの管理職にも相談の上、その技術に詳しいチームにつなぐということを行っています。弊社の自社商品開発は、一つの商品の中だけでクローズして開発しているというイメージではないですよね。

そうですね。東京本社での本格的な開発が始まっていますが、基本的にはパーテーションがないワンフロアで働いていますし、心理的な垣根もなく普段からコミュニケーションが活発なのが弊社の自社商品開発の特色ですよね。

技術の共有というと、クラウド運用チームもその重要な役割を担っていますよね。SKYMENUシリーズのクラウド化に向けて部内で専任のクラウド運用チームを立ち上げ、現在もクラウドに関する技術の中核になってくれています。SKYSEA Client View Cloud Editionの開発に乗り出したのも、このチームを中心として蓄積したノウハウを生かせる状況だったからです。

それに連携という意味では、自社商品同士の機能連携も進んでいます。都度、連携機能を担当するそれぞれのメンバーが、話し合って方向性を決めています。ここのところは特に、新商品の営業支援や名刺管理に活用できるSKYPCEとSKYSEA Client Viewの連携強化が積極的に行われています。お互いにより良い仕様になるように活発に意見交換が行われていて、日常的に人と人が交流しています。

画面仕様書チームも、それぞれの商品の開発チームとの連携は密ですよね。各チームからおおまかな仕様を伝えていただき、細かいところが決まる間にこちらでざっくりした絵を描いた上で、意見を合わせていく流れです。最初の共通認識が間違っていると、目指すべき姿がずれたまま進めてしまうことになるので、そこから再度やりとりして……となると大変です。共通認識を持てるように細かにコミュニケーションをとることは大切です。

そうですよね。技術を共有するに当たっても、ほかのチームときちんとコミュニケーションを取ることができたり、周囲を巻き込んでいく意識というのが弊社では特に重要な能力になりますよね。

こだわりが​持てて知的好奇心が​旺盛な​人
モノづくりが​好きな​人を​求めている

これから会社の方針として自社商品を10商品に増やす方向です。ますます人員の強化が必要になってきますが、皆さんはどのような人材を求めていますか?

技術的な面に関しては、特に厳しい条件を設定しているわけではなく、開発者として年齢相応の実務経験があれば、これから一緒に頑張って成長してもらえそうな方は採用することが多いです。必要な技術は入社して頑張ってくれたらいいよ、と。中堅だとそうはいきませんけど。

そうですね。あとは、人を管理してどんどん出世したいという方はお断りするケースが少なくありませんね。常に自分自身のスキルアップを怠らない向上心がある方が良いです。というのも、自社商品開発は基本的に自分たちで何でも解決して、商品にしなければなりません。「自分たちの商品を作るんだ」というこだわりを持って、チーム力を発揮しながら技術を磨き、より良い商品にしていくことが大事です。先ほど画面仕様書チームでは、未経験者が多いとおっしゃってましたよね。

そうですね。他業種からの転職の方が多いです。新卒で入社した会社ではプログラマーを目指していたけどほかの領域も挑戦してみたくなったという方など、仕様書検討業務の経験のある方はいないです。

そのなかで、どういった点を重視していますか?

選考の基準は、お二人がおっしゃっていたのと同じです。技術面では、実際の業務の進め方や仕様書の検討のノウハウは入社後に学んでもらい、一緒に成長していこうというスタンスです。今までの経験やすぐに生かせるスキルを重視しているわけではありません。
さっきのお話と重なりますが、画面仕様書の検討業務でも重要なのが、「良いモノを作ることへのこだわり」だと思っています。面接では、これまでにこだわりを持って作業してきた経験などを聞きます。今まで携わった業務をより良くするために工夫したり、改善のために周りを巻き込んだりした経験を持っている方に好印象を持ちます。いかに思いを込めて業務に取り組めるか、というところをみています。

やはり向上心のある方でなければ難しいですよね。一口に自社商品開発といっても、技術の幅はものすごく広いです。インターネットで検索しても、英語の文献を調べても答えが見つからないこともあったりしますし。それをきちんと調べることが苦痛じゃないということは重要です。実際の現場にも、知的好奇心が旺盛な人が本当に多い。知らないことを調べて理解する、それを楽しめる人が良いと思います。

モノづくりが好きな人が本当に多いですよね。自社商品の開発に携わりたい方は、入社してすぐに成果を出して評価されたいという気持ちの強さより、自分たちの商品をより良くするためのモノづくりをしたいという思いを持っているのだと思います。そういう方に好感を持ちますし、やはりモノづくりが好きという思いが、弊社の社風である「好働力」につながるのかなと感じています。

本当にそうですね。私も好働力が基本になると思います。やらされる仕事ではなく、自分で突き詰めるには、モノづくりが好きという思いが原動力です。それがないと技術探求や仕様改善をしていこうとはならないです。ですから、「自分の作業範囲はここまで」と線引きしてしまう方は合わないかなと思います。

技術者と​して​これほど​楽しい​会社、
やりがいの​ある​会社は​ないと​思っています

先端技術を​追求し、​挑戦を​続ける
技術者と​して​やりがいの​ある​環境が​ある

自社商品を開発する上で、弊社の環境についてどう感じていますか?

弊社には複数の自社商品がありますよね。SKYSEA Client Viewはもともとセキュリティ商品の分野ではかなり後発の商品でしたが、現在は地位を確立しています。一方で、SKYDIV Desktop ClientやSKYPCEはまだ新しい商品です。他社に追いつけ、追い越せでどんどん技術を追求する新商品もあれば、長年改善を加えてきて地位を確立した商品として、市場全体に方向性を示す役割を担っている商品もあります。このように弊社には立ち位置の違う商品があることで、その違いを身近に感じられます。それは非常に面白く、恵まれた環境だと思います。

知的好奇心が強い人にはすごく恵まれた環境です。SKYDIV Desktop Clientの要素技術の中には、既存の仕組みとはまったく違う、自社商品開発の中でも先端をいく技術の追求を行っているものもあります。この技術を応用すれば、Web会議システムなどの技術の基盤にもつながっていくのではないかと思います。今後の新商品のアイデアとして、会社のOA化という視点が大切になると思いますが、そこで先端をいく何かができるのではないかと思います。基盤になる技術知識の習得は難しいですが、そこに関われることは、技術者として大きなチャンスですし、弊社の一番の魅力だと思います。

私は社歴が長いので、会社そのものや開発の規模がどんどん大きくなっていく過程を経験しています。ですから、個人では試すことができない技術領域や他社様との連携など、ある程度の規模があるが故にできるチャレンジがあると感じています。規模が大きくなると、組織の中に組み込まれて、自分の与えられた範囲の中で日々同じようなことを繰り返すということになりがちです。弊社は規模が大きくなっても、昔と変わらないチャレンジ精神を持ち続けていますし、会社としても「まだまだやるぞ」という姿勢です。技術者として、これほど楽しい会社、やりがいがある会社はないんじゃないかなと思っています。

あらためて良い環境の中で仕事に取り組めているのだと感じることができました。画面仕様書チームでも、今後新たな商品が増えてももちろん、弊社らしい、わかりやすく直感的なUIという点はすべて統一していきます。そのためには、開発の皆さんとさらに連携を深め、わかりやすさを追求していく必要があると思います。皆さんの熱い思いに触れられ、今後も一緒にモノづくりを楽しんでいきたいと思いました!今日はありがとうございました。

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